「雨の日になると頭が重い…」梅雨の頭痛に悩むあなたへ
「梅雨に入ってから、頭が重い日が増えた」
「雨が降る前になると、決まって頭が痛くなる」
「ズキズキというより、頭全体を締めつけられるような鈍い痛みが続く」
6月に入り、こんな頭痛に悩まされている方は少なくありません。梅雨の頭痛は「気圧のせい」「低気圧頭痛」とひとことで片づけられがちですが、実は痛み方には個人差があり、人によって原因も対処法も変わってきます。
私自身も、肩こりや首のこわばりで来院された30代の方から「この時期、頭まで痛くなって…」と相談を受けることがよくあります。そして話を聞いていくと、頭そのものより、首や肩のこりがかなり強くなっている方が多いのです。
梅雨の頭痛は「気圧だから仕方ない」とあきらめる前に、自分の頭痛がどのタイプかを知ることが、対処の第一歩になります。
この記事では、梅雨の頭痛のなかでも、首こりが引き金になりやすい「緊張型頭痛」に注目して、その仕組みとセルフケアをお伝えします。
梅雨の頭痛には「2つのタイプ」がある
梅雨どきの頭痛は、大きく分けて2つのタイプがあると考えられています。この2つは痛み方が違い、楽になる対処法もほぼ正反対です。だからこそ、自分がどちらに近いかを知っておくことがとても大切です。
ひとつは、ズキンズキンと脈打つように痛む「片頭痛」タイプ。気圧の変化がきっかけとなり、頭痛に関わる神経が過敏になって起こると考えられています(「気象病」「天気痛」と呼ばれることもあります)。光や音に敏感になったり、体を動かすと痛みが強まったりするのが特徴です。気圧と頭痛の関係について詳しくは、30代の梅雨頭痛は気圧が原因?今日からできるセルフケアもあわせてどうぞ。
もうひとつが、この記事の主役である、頭全体を締めつけられるように鈍く痛む「緊張型頭痛」タイプです。後頭部から首すじにかけて重だるく、肩こりをともなうことが多いのが特徴です。緊張型頭痛は、首や肩、頭を支える筋肉の緊張が大きく関わるとされる、もっとも多くみられるタイプの頭痛です。
梅雨の時期にこの緊張型頭痛が出やすくなるのには、理由があります。気圧や寒暖差で自律神経(活動モードの交感神経と、休息モードの副交感神経)が揺らぐと、体は無意識に身構えて、首や肩に力が入りやすくなります。さらに、雨で外出が減って同じ姿勢が続いたり、冷房が入りはじめて首肩が冷えたりすることが重なり、筋肉のこわばりが強まりやすいのです。
梅雨の頭痛で「締めつけられる」「首肩がガチガチ」と感じるなら、それは気圧そのものより、首こりが引き金の緊張型頭痛かもしれません。
自分はどっち?簡単セルフチェック
次の項目に、いくつ当てはまるか確認してみてください。
- 頭全体や後頭部が、締めつけられるように重く痛む
- 痛みと一緒に、首すじや肩のこりを強く感じる
- 体を動かしても、痛みはそれほど強くならない
- 長時間のデスクワークやスマホのあとに痛みが出やすい
- 首や肩を温めると、少し楽になる気がする
これらに多く当てはまる方は、緊張型頭痛の傾向があるかもしれません。反対に「脈打つように痛む」「光や音がつらい」「動くと悪化する」が中心なら、片頭痛タイプの要素が強いと考えられます。両方が混ざることもあるため、あくまで目安として捉えてください。
梅雨の緊張型頭痛が起きやすくなる5つの原因
梅雨の緊張型頭痛には、首こりを中心に、いくつかの背景が重なって起こりやすくなります。ここでは大きく5つに整理してみます。自分がどれに当てはまるか、考えながら読んでみてください。
原因1:首の深い筋肉と肩まわりの筋肉のこわばり
頭と首のつなぎ目には、後頭下筋群と呼ばれる首の深い小さな筋肉のグループがあります。頭を細かく支え、目線を動かすときにも働く筋肉です。さらに、肩から首にかけて広がる僧帽筋(首から背中の表層にある大きな筋肉)の上部や、肩甲挙筋・胸鎖乳突筋(首の横を走る筋肉)など、肩まわりの筋肉の緊張も頭痛に関わることがあります。人によっては、この首の奥の筋肉よりも、こうした肩まわりの筋肉の影響が大きいこともあります。
デスクワークやスマホで頭が前に出た姿勢が続くと、重い頭を支えるためにこの筋肉がずっと緊張しっぱなしになります。すると後頭部から首すじが張り、その張りが頭の痛みとして広がっていくことがあります。頭の痛みの出どころが、実は首のつけ根にある——これが緊張型頭痛の見落とされやすいポイントです。
原因2:梅雨の自律神経の揺らぎと、無意識の力み
梅雨は気圧や湿度、寒暖差が大きく変わる季節です。体はその変化に合わせて、自律神経をひんぱんに切り替えて対応しようとします。
この切り替えが続くと、体はどこか緊張モードになりやすく、無意識のうちに首や肩、あごに力が入りがちです。気づくと歯を食いしばっていた、肩がすくんでいた、という方も少なくありません。こうした持続的な力みが、首肩の筋肉のこわばりを強め、緊張型頭痛につながると考えられています。気圧や湿度で体調が揺らぎやすいこの時期の不調については、梅雨入り直前に30代を襲う自律神経の乱れと対策も参考になります。
原因3:冷房と浅い呼吸による血流の停滞
6月は冷房が入りはじめる時期でもあります。首や肩は冷たい空気にさらされやすく、冷えると筋肉が縮んで血流が滞りやすくなります。血流が滞った筋肉には、疲労物質がたまりやすく、こりや痛みが長引く一因になります。
さらに、前かがみの姿勢が続くと呼吸が浅くなり、首や肩まわりの筋肉が休まりにくくなります。呼吸が浅くなると、本来呼吸を担う横隔膜(肺の下にあるドーム状の筋肉)の代わりに、首や肩の筋肉を使って呼吸しがちになり、首肩の負担が増えることがあります。冷えと浅い呼吸が重なると、首肩のこわばりがいっそうほぐれにくくなるのです。冷房による首肩への影響は、繰り返す寝違え|冷房の季節に首が痛む本当の原因でもくわしく触れています。
原因4:睡眠の質の低下
梅雨は湿度や気温の影響で寝苦しくなりやすい季節です。睡眠が浅くなると、筋肉の疲労回復が十分に行われにくく、痛みに対する体の感受性も高まりやすくなります。実際に、睡眠不足が続くと頭痛が出やすくなることも知られています。寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝すっきり起きられない——そんな日が続いているときは、首こりだけでなく、睡眠の影響も重なっているのかもしれません。
原因5:水分不足と軽い脱水
梅雨は気温がそれほど高くなく、汗をかいている実感も少ないため、意外と水分の摂取量が落ちやすい時期です。室内で過ごす時間が長くなることも重なって、知らないうちに水分が不足しがちになります。軽い脱水でも頭痛が誘発されることがあるため、のどの渇きを感じる前に、こまめに水分をとることを意識してみてください。
⚠️ 頭痛が気になるときにやりがちなNG
- 痛み止めだけに頼り、首肩のこりを放置する(一時的に楽でも、こわばりの原因が残るとぶり返しやすくなります)
- 緊張型なのに、冷やして対処する(締めつけ型のこりは温めたほうが楽になることが多く、冷やすと逆効果になる場合があります)
- 「いつもの頭痛」と決めつけて市販薬を毎日のように飲む(頻度が多い場合は使い方の見直しが必要なことがあります)
- 痛みを我慢して、長時間同じ姿勢を続ける(首肩の負担が積み重なり、こわばりが強まることがあります)
- 痛い場所を強く揉み続ける・首をボキボキ鳴らす(刺激が強すぎると、かえって筋肉が緊張し、痛みが長引くことがあります)
首肩をゆるめて頭痛をやわらげるアプローチ
緊張型頭痛が首こりから来ているなら、向き合う方向はシンプルです。こわばった首肩の筋肉をゆるめ、血流をめぐらせること。ここでは、おすすめの3つの方向性をお伝えします。
方向性1:温めて血流をめぐらせる
締めつけられるタイプの頭痛では、首や肩を温めることでこわばりがやわらぎ、楽になる方が多いです。蒸しタオルを首の後ろに数分当てる、ぬるめのお湯にゆっくりつかる、といった方法が手軽です。梅雨は蒸し暑い日もありますが、冷房で冷えた首肩は意外と冷たくなっているもの。蒸し暑くても、首肩だけは温めるのがコツです。
ただし、ズキズキ脈打つ片頭痛タイプのときは、温めるとかえってつらくなることがあります。その場合は温めずに、暗く静かな場所で休むほうが楽なことが多いです。温めるか休むかは、頭痛のタイプで真逆になる——ここを取り違えないことが大切です。
方向性2:頭を支える筋肉の負担を減らす
首こりの大もとには、頭が前に出た姿勢があります。デスクワーク中は、画面の高さを目線に近づける、あごを軽く引いて頭を体の真上に戻す、といった小さな調整で、首の付け根の筋肉の負担が変わってきます。
姿勢そのものを見直したい方は、意識しても姿勢が改善しない30代の本当の理由もあわせてどうぞ。姿勢は「気合いで正す」より「環境を整える」ほうが続きやすいものです。
方向性3:力みを抜く時間を意識してつくる
梅雨どきは無意識に力が入りやすい季節です。だからこそ、意識して力を抜く時間をつくることが、こわばりの予防になります。1時間に1回、肩をすくめてストンと落とす、大きく息を吐く、それだけでも首肩の緊張がリセットされやすくなります。
なお、これらはあくまで筋肉のこわばりからくる緊張型頭痛を想定したセルフケアです。今までに経験したことのない激しい頭痛や、手足のしびれ・ろれつが回らないなどをともなう頭痛は、別の原因が隠れていることがあります。その場合は自己判断せず、医療機関を受診してください。
今日からできる4つのアクション
梅雨の緊張型頭痛をため込まないために、今日から取り入れられる4つのアクションを紹介します。一気に全部やる必要はありません。1つだけでも続けることが、頭の重だるさを軽くする近道になります。
アクション1:首の後ろを蒸しタオルで温める
電子レンジで温めたタオルや、市販の温熱シートを、首の後ろから肩にかけて数分当ててみてください。冷房で冷えた首肩がじんわりゆるみ、血流がめぐりやすくなります。お風呂で湯船にゆっくりつかるのも同じ効果が期待できます。締めつけ系の頭痛は、首を温めるだけで軽くなる方が少なくありません。
アクション2:1時間に1回、肩をストンと落とす
長く座り続けると、知らないうちに肩がすくんで力が入っています。1時間に1回を目安に、息を吸いながら肩をぐっと上げ、息を吐きながらストンと落とす——これを2〜3回くり返すだけで、首肩の力みがリセットされます。あわせて、ゆっくり大きく息を吐くことを意識すると、首肩の緊張がほぐれやすくなります。
アクション3:あごを軽く引いて頭の位置を戻す
デスクワーク中、画面に顔を近づけて頭が前に出ていないか、ときどき確認してみてください。あごを軽く引き、頭を体の真上に戻すだけで、後頭部の筋肉の負担が減ります。頭の重さは思った以上に首にのしかかっています。頭の位置を戻すことが、首こりを防ぐいちばんの近道です。
アクション4:胸を開いて深呼吸する
浅い呼吸や猫背が続くと、首肩の筋肉に負担がかかりやすくなります。1日に数回、両手を体の後ろで軽く組み、胸を開きながら、ゆっくり深呼吸を3〜5回くり返してみてください。胸が広がって呼吸がしやすくなり、丸まった背中と前に出た首の位置も整いやすくなります。猫背の改善・呼吸の改善・首肩の負担軽減を、一度にやさしく狙えるセルフケアです。
⚠️ こんな頭痛は早めに受診を(危険なサイン)
ここで紹介したのは、あくまで筋肉のこわばりからくる緊張型頭痛を想定したセルフケアです。次のような頭痛は、別の病気が隠れていることがあります。ひとつでも当てはまる場合は、自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。
- 突然の、これまで経験したことのない激しい頭痛
- 発熱や、首のうしろの強い張りをともなう頭痛
- 手足のしびれや麻痺、力が入りにくい
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 意識がもうろうとする、ぼんやりする
- ものが二重に見える、視野が欠けるなどの見え方の異常
こうしたサインがあるときは、頭痛そのものより、その奥にある原因への対応が優先されます。「いつもの頭痛」と決めつけないことが、自分の体を守ることにつながります。
まとめ
梅雨の頭痛は「気圧のせい」とひとくくりにされがちですが、実際には脈打つ片頭痛タイプと、締めつけられる緊張型頭痛タイプがあり、対処法は正反対です。梅雨の頭痛で「首肩がガチガチ」「頭全体が重い」と感じるなら、それは首こりが引き金の緊張型頭痛かもしれません。
緊張型頭痛は、首や肩の筋肉のこわばり、自律神経の揺らぎによる無意識の力み、冷房と浅い呼吸による血流の停滞に加え、睡眠の質の低下や水分不足なども重なって起こりやすくなります。だからこそ、首肩を温めてめぐらせること、頭の位置を戻して筋肉の負担を減らすこと、力みを抜く時間をつくることが、向き合ううえでの基本になります。
雨の日の頭痛には日によって波があり、出やすい日もそうでない日もあって当たり前です。「梅雨だから仕方ない」とあきらめず、まずは首の後ろを温めることから始めてみてください。痛み方や対処に迷うとき、いつもと違う強い痛みを感じるときは、無理をせず医療機関に相談すると安心です。
よくある質問
Q1. 緊張型頭痛と片頭痛は、自分で見分けられますか?
A. 目安としては、頭全体が締めつけられるように鈍く痛み、首肩のこりをともない、動いても悪化しにくいのが緊張型の傾向です。一方、脈打つように痛み、光や音がつらく、動くと悪化するのは片頭痛の傾向です。両方が混ざることもあるので、はっきりしないときや痛みが強いときは医療機関で相談してください。
Q2. 梅雨の緊張型頭痛は、温めるのと冷やすの、どちらがいいですか?
A. 締めつけられるタイプの緊張型頭痛では、首肩を温めて血流をめぐらせると楽になる方が多いです。反対に、脈打つ片頭痛タイプのときは温めるとつらくなることがあり、暗く静かな場所で休むほうが向いています。自分の痛み方に合わせて選ぶのがおすすめです。
Q3. 痛み止めを飲んでもいいですか?
A. つらいときに市販の鎮痛薬を使うこと自体は選択肢のひとつです。ただし、頻繁に飲む状態が続く場合は、使い方の見直しが必要なこともあります。薬に頼りきりにせず、首肩のこりをゆるめるセルフケアも組み合わせていくと、ぶり返しにくくなります。飲む頻度が気になる場合は、薬剤師や医療機関に相談してください。
Q4. デスクワーク中にできる、手軽な対策はありますか?
A. 1時間に1回、肩をすくめてストンと落とす、大きく息を吐く、あごを軽く引いて頭の位置を戻す、といった小さな動作がおすすめです。どれも数十秒ででき、首肩の力みをリセットしやすくなります。冷房の風が首肩に直接当たらないよう、羽織りものを用意するのも効果的です。
Q5. どんな頭痛のときは受診したほうがいいですか?
A. 突然の激しい頭痛、発熱をともなう頭痛、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、意識がもうろうとする、ものが二重に見える・視野が欠けるといった症状をともなう頭痛は、別の病気が隠れていることがあります。日に日に悪化する頭痛も同様です。こうした場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。「いつもの頭痛」と決めつけないことが大切です。