歩いた翌日、足が重くなっていませんか

体のためにウォーキングを始めた。それ自体は、とても良いことです。

ところが、しばらく続けているうちにこうなる方がいます。

「歩いた翌日、ふくらはぎや脛が張って重い」

「膝の前が痛くなってきたので、いったんやめました」

歩くことは、負担の少ない運動と言われます。それなのに、なぜか疲れが残る。

ウォーキングでこうなる方に歩き方を聞くと、共通していることがあります。

意識していることが、3つも4つもあるんです。

歩き方は、足し算では良くなりません

かかとから着く。腕を大きく振る。歩幅を広げる。背筋を伸ばす。お腹に力を入れる——。

どれも、間違ったことは書かれていません。ひとつひとつは理にかなっています。

ですが、こういうことが起こります。

歩き方は、意識することが増えすぎると、かえって力みやすくなります。

歩くことは、本来、細かい動きを一つひとつ考えなくてもできる動作です。

そこへ4つも5つも意識を重ねると、動きをコントロールしようとして、かえって力みが出ることがあります。整った歩き方に近づくどころか、力んだ歩き方になってしまう。

整形外科クリニックの現場で、ウォーキングを始めてから膝や脛が痛くなったという方に歩き方をうかがうと、「教わったことを全部やろうとしていた」という話をよく聞きます。特に、教わったことをきちんと守ろうとする方ほど、意識する項目が増えてしまうことがあります。

ウォーキングで疲れる3つの意識

① 「かかとから着地」を狙いにいく

いちばん多いのがこれです。

たしかに、ふつうに歩けば多くの方はかかとのあたりから接地します。ですがそれは、結果としてそうなっているもので、狙いにいくものではありません。

かかとから着こうとすると、足を前に伸ばして接地する形になり、結果として進もうとしているのにブレーキがかかるような歩き方になることがあります。

その歩き方が続いて、脛や膝まわりに負担が偏る方もいます。

② 腕を大きく振ろうとする

「腕を後ろに引く」という説明はよく見かけます。

ただ、腕は脚の動きに合わせて自然に振られている面があります。そこを大きく振ろうとすると、肩や首まわりまで一緒に力が入ることがあります。

歩いたあとに肩が凝る、首が張る。そういう方は、腕を頑張って振っていないか一度見てみてください。

③ 歩幅を広げる

歩幅を広げることで、歩く強度を高めることはできます。

ですが歩幅は、股関節の動く範囲と、脚を運ぶ力の範囲で決まります。そこを超えて広げると、足が前に出すぎて①と同じ形になりやすくなります。

なお、これら3つはどれか1つが悪いというより、重ねたときに効いてきます。1つずつなら、そこまで無理のない形に収まることが多いように思います。

意識を1つに減らす

ここが本題です。

足すのではなく、減らします。

まず、全部やめてみる

一度、意識していることを全部手放して、いつもどおりに歩いてみてください。

「それでは意味がないのでは」と思われるかもしれません。ですが、力みが抜けた状態がその人の出発点です。そこが分からないまま項目を足しても、何が効いているのか分からなくなります。

何も意識しない歩きが崩れることはありません。何十年も続けてきた動きですから、放っておいても体は歩けます。

残す意識は「足を遠くに出さない」

そのうえで、1つだけ選ぶとしたらここです。

意識するなら、「足を遠くに出さない」くらいで十分です。

いつもの歩幅のまま、体の近くに自然に足を置いていきます。前に伸ばして着きにいかない、それだけです。これができると、かかと着地も腕振りも、狙わなくてもある程度ついてきます。

足音も1つの手がかりになります。「ドン」と強く着いていないか、くらいを軽く確認してみてください。ただし足音は靴や路面、歩く速さでも変わるので、静かに歩けているかどうかで良し悪しを決めないようにしてください。

⚠️ ただし、これを意識して脚や腰に張りが出るなら合っていません。また、歩数が増えるのは自然なことなので気にしなくて大丈夫です。すり足のようになって足が上がらないと感じるなら、やりすぎです。

靴は「合っているか」で選ぶ

道具の話も1つだけ。

厚さやブランドではなく、次の3つが成り立っているかで見てください。

  • かかとが浮かず、靴の中で足が前後に滑らない
  • つま先が靴に当たらず、指を軽く動かせる余裕がある
  • 足の甲がしっかり留められる(ひも・ベルトがゆるすぎない)

⚠️ ゆるい靴は、脱げないように足指で押さえる歩き方になりやすくなります。足裏や指の付け根がつらい方は、足裏の痛みもあわせてご覧ください。

歩き終わったあとに見てほしいこと

歩いている最中は、自分のフォームは見えません。鏡もありません。

ですので、判断材料は歩き終わったあとの体にします。

疲れが出た場所を、次に見るところにする

疲れた場所から原因を言い当てられるわけではありません。次に一度チェックしてみるポイントとして使ってください。

  • ふくらはぎ・脛の前が張る → 足を前に出しすぎていないか
  • 肩や首が凝る → 腕を頑張って振っていないか
  • 股関節の前や膝の前がつらい → 歩幅や速さを急に上げていないか

「どこも張っていないとおかしい」ということはありません。歩いたあとに強い痛みがなく、翌日にも残らないなら、まずはその量を続けてみてください。

量は、痛みなく終われるところから

歩き方が落ち着かないうちに距離を伸ばすと、合わない形のまま繰り返すことになります。

最初から距離や時間を追いすぎる必要はありません。まずは痛みなく終えられる量から始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。一度にまとめて歩く必要もなく、短く分けても差し支えありません。外に出られない日は、踏み台昇降のような室内でできるものに替えても大丈夫です。

続け方は「いつ・どこで」まで決める

ウォーキングを続けるには、フォームだけでなく「いつ・どこで歩くか」まで決めておくことも大切です。

朝の習慣として組み立てたい方は、朝散歩の記事も参考になるかと思います。

まとめ

ウォーキングの歩き方で押さえたいのは、次の3点です。

  • 意識する数を増やさない——多いほど力みやすくなります
  • かかと着地は狙わない——結果としてそうなるものです
  • 判断は歩き終わったあとの体で——疲れの出た場所が次に見るところです

歩き方は、良いものを足していく作業ではありません。直そうとしすぎず、今の歩き方から余計な力を1つ減らしてみてください。

今日は「意識を1つだけ残して歩く」。それだけで十分です。

セルフチェック

  • ①歩くときに意識していることが3つ以上ある
  • ②歩いた翌日、ふくらはぎや脛の前が張る
  • ③歩いたあとに肩や首が凝る
  • ④歩き始めてから膝の前がつらくなった
  • ⑤靴の中でかかとが浮く、または足が前に滑る

当てはまる数が多いほど悪い、という表ではありません。当てはまった項目が、そのまま先に手をつけられる場所です。

  • 意識を1つに減らすから始めてください。ここだけで②〜④が軽くなることがあります
  • ②③歩き終わったあとを使って、疲れの出た場所から1つ見直してください
  • → 同じく歩き終わったあとから見直してください。ただし歩き方を変えても膝の痛みが続くなら受診の目安を先にご覧ください
  • → 靴が先です。歩き方を変える前に、足が中で動いていないか確かめてください

全部やろうとしなくて大丈夫です。1つ選べば十分です。

やりがちなNG

  • 教わったフォームを全部いちどに実行しようとする
  • かかとから着こうとして、足を前に放り出す
  • 肩に力を入れて腕を大きく振る
  • 歩き方が落ち着かないうちに距離や時間を伸ばす
  • 痛みが出ているのに「慣れれば良くなる」と続ける

受診の目安

次のいずれかに当てはまる場合は、自己流で様子を見ずに医療機関へ相談してください。

  • しばらく歩くと足がしびれたり重くなり、休むとまた歩ける——これを繰り返す
  • 足に力が入りにくい、つまずくことが増えた
  • 歩いていないときや夜間にも痛む
  • 脛や足の甲の一点を押すと強く痛む、腫れがある
  • 休んでも痛みが軽くなる気配がない

とくに1つ目——歩いては休み、また歩けるようになるという繰り返しは、様子を見ないでください。整形外科などの医療機関を受診してください。

よくある質問

Q1. かかとから着地するのは間違いなのですか?

間違いではありません。ふつうに歩けば、多くの方はかかとのあたりから接地します。お伝えしたいのは、それを狙いにいくと足が前に出すぎやすいということです。着き方そのものより、足がどこに着いているかを見てみてください。

Q2. 早歩きのほうが効果はありますか?

運動量という意味では増えます。ただし、速さを上げると①〜③の形が出やすくなります。歩き方が落ち着いてから速さを考えるほうが無理がありません。息が弾んでも会話ができる程度が、ひとつの目安になります。

Q3. 毎日歩かないと意味がないですか?

そんなことはありません。毎日を条件にすると、続かなかったときにやめてしまいがちです。間隔より、痛みなく終われている回を増やすほうが、結果として続きます。

Q4. 歩くとき、姿勢はどう意識すればいいですか?

姿勢も「足す」対象になりやすいところです。背筋を伸ばそうとして腰が反ってしまう方もいます。視線を少し前に置くと、それだけで体は起きてきます。姿勢そのものを直そうとしないほうが、うまくいくことが多いです。

✍️ この記事の執筆者

ふみや|柔道整復師

整形外科クリニックのリハビリ室での臨床経験あり。30代以降の体の不調と向き合ってきた立場から、痛み・こり・姿勢・運動のセルフケアを「やさしく、でも本質を外さず」をモットーに発信しています。

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