タオルが寄ってこない、その前に足がつる

床にタオルを広げて、足の指で手前に手繰り寄せる。タオルギャザーのやり方を調べると、たいていこう書いてあります。道具はタオル1枚、場所も要りません。

ところが実際にやってみると、タオルがほとんど動かない。少し寄ってきたと思ったら、今度は足の裏がつりそうになる。数日でやめてしまった——そんな経験はありませんか。

そして「自分は足の指が弱いんだ」と結論づけて、そこで終わってしまう方が多くいます。

ですが、つまずいている場所はたいてい同じところです。

多くの方が、足の指が床についているかを確かめないまま「握る」ことから始めています。

足の指は「握る」だけでなく、「開く・伸ばす・床につける」ことも大切です

タオルギャザーは、見た目には「指で握る運動」です。ですが実際にやってみると、つまずきやすいのは、指を床に着けることと、力を抜いて指をゆるめることのほうです。

普段の生活を思い返してみてください。足の指を意識して大きく動かす機会は、それほど多くありません。動かし慣れていない動きは、いざやろうとしても出てきにくいものです。

つまり、こういうことです。

握る動きだけでなく、いったん指をゆるめて床に戻すことも大切です。

だから、タオルを何枚寄せられたかが、そのまま運動の中身につながるわけではありません。むしろ強く握ることに集中して、足の裏がつって終わることになりがちです。

どこで感じるかには個人差があります。足の裏で感じる方もいれば、すねやふくらはぎのあたりで感じる方もいます。「ここに効いていないとおかしい」と考えなくて大丈夫です。

整形外科クリニックの現場でよく見かけるのは、椅子に座って足元を見てもらったときに、足の指が床に触れていない方です。ご本人は「ちゃんと着いているつもり」なので、指摘されて初めて気づきます。

この「動かす前に、まず着いているかを見る」という考え方は、足の親指の付け根が痛いでお伝えした内容と同じ軸です。

タオルギャザーでやりがちな3つの間違い

① 強く握り込むことだけをやっている

いちばん多いのがこれです。指を強く曲げるほど効きそうに見えますが、曲げる動きばかりが増えていきます

タオルギャザーは、握って、ゆるめて、また握るという繰り返しです。ゆるめるときに指が床に戻っていないと、曲げたままの状態で次の握りに入ることになります。これが続くと、足の裏がつりやすくなります。

目安は、1回ごとに指をゆるめて床に戻してから、次を握ること。回数を稼ぐより、この握ってゆるめる動きが1回ずつ成立しているかのほうが大事です。

ここで、意識を1つ変えるだけで変わることがあります。「握る」ではなく「足の指で床を感じてから、手前に引く」と考えてみてください。

指先だけで引っかけようとすると、指の先が丸まって爪が当たり、痛みが出やすくなります。足の指を床にそっと触れさせてから引くと、タオルが動きやすくなる方が多いです。

② かかとが浮いて、足首から先ごと引いている

ここが本題です。確かめてほしいのは1つだけです。

かかとが床についたまま、足の指だけを動かせているか。 かかとが浮いていると、指だけでなく足首から先を丸ごと使って引いている可能性があります。すると、足の指を動かしているのか、足全体が動いているのかが分かりにくくなります。

ねらいは、きれいな形を作ることではありません。足の指が動いているかどうかを、自分で確かめられるようになることです。

指で強く握り込まないという考え方は、片足立ちがグラつく理由でお伝えした話と共通します。

③ つるまで続けている

足の裏や指がつりそうになっても、あと少しと続けていませんか。

つりそうになったら、いったん休みましょう。少し休んで落ち着けば、そこから続けても構いません。それでも繰り返しつるなら、回数を減らすか、タオルなしの練習に戻してください。

もともと夜中に足がつることが多い方は、こむら返りが起きる原因もあわせてご覧ください。運動の量以外にも、見直せる点があります。

握る前に、足の指の状態を確かめる手順

① 座り方の土台を作る

椅子に浅めに腰かけます。膝は股関節の下あたり、かかとは床につけたまま。背もたれに寄りかからず、足元が見える姿勢にしてください。

ここで先に、5本の足の指が床に触れているかを確かめます指を無理に押しつける必要はありません。触れているかどうかを見るだけで十分です。

タオルを触る前に、この確認をしておくのがポイントです。確かめてから動かす、という順番です。

② 段階を踏んで進める

いきなりタオルを引く必要はありません。次の順番で進めると、つまずきにくくなります。

  1. 5本の指を床につける
  2. 指をゆっくり開いて、また戻す(開く幅は小さくて構いません)
  3. タオルなしで、指を手前に滑らせる
  4. タオルを置いて引き寄せる

2つ目の「開く」がいちばん難しい方が多いです。最初から大きく開けなくても大丈夫です。動かせる範囲から始めてください。開く幅よりも、指が床から離れていないことのほうが大事です。

3つ目までで手一杯なら、そこが今の段階です。焦らなくて大丈夫です。

③ 引いたあと、ゆっくりゆるめて床に戻す

タオルを引き寄せたら、そこで終わりにしないでください。

見落とされがちなのが戻り方です。パッと力を抜くのではなく、指をゆっくりゆるめてタオルを離し、もう一度床に着けます。ここまでを1回と考えてください。

握って止めるところだけが運動ではありません。ゆるめて床に戻すところまでで1回です。

まずは片足10回程度から。回数より、握ってゆるめる動きが1回ずつ成立した回数を数えるほうが役に立ちます。

感じ方について

足の裏に軽く張る感じが出る方が多いですが、すねやふくらはぎのあたりで感じる方もいます。また、何も感じなくても間違いとは限りません

感覚がつかみにくいときは、感覚を探すより目で確かめるほうが確実です(次の習慣②を参照)。

続けるための3つの習慣

① 回数ではなく「つらない範囲」で決める

30回を目標にすると、後半はつりそうなのを我慢して数を数えることになります。つりそうになったら、そこでいったん休むと決めておくほうが、結果的に続きます。

5回で休みたくなったら、今日は5回で十分です。

② 足元を1回だけ見る

指が本当に動いているかどうかは、感覚だけでは分かりにくいものです。動かしているつもりで、実はほとんど動いていないこともあります。

タオルを引く前に、足元を1回だけ見てください。5本の指が床に触れているか、浮いたままの指がないか、数秒見れば分かります。

③ 靴と靴下の中に、指が動く余地があるか

運動の時間よりも、1日の大半を過ごす靴の中のほうが長いです。

つま先が窮屈な靴や、指先まできつい靴下では、足の指が動きにくい状態になっている可能性があります指先に少し余裕があるかを一度確かめてみてください。

朝起きて最初の一歩で足の裏が痛む方は、足裏の痛みの原因もあわせてご覧ください。運動より先に見直したほうがよい点があります。

まとめ

タオルギャザーのやり方で押さえたいのは、次の3点です。

  • 握る前に、指が床についているかを確かめる——見るだけで十分、押しつけなくて構いません
  • かかとを床につけたまま——足の指だけを動かせているか
  • ゆっくりゆるめて床に戻すまでが1回——握って止めるところだけが運動ではありません

タオルギャザーは、タオルを何枚寄せられるかを競う運動ではありません。普段あまり意識していない足の指の動きを、自分で確かめ直す練習です。

今日は片足5回でも構いません。握ってゆるめる動きがきちんと成立した5回なら、それで十分です。

セルフチェック

  • 座って足元を見ると、床に触れていない指がある
  • 握ったあと、指をゆるめて床に戻すのが難しい
  • タオルを引くと、かかとが床から浮いてくる
  • 数回で足の裏や指がつりそうになる
  • 靴を脱ぐと、指先に赤みや当たった跡が残っている

当てはまった項目が、そのまま戻る段階の目印です。握る前に、足の指の状態を確かめる手順の段階を1つ戻して、そこから始めてください。

やりがちなNG

  • つりそうなのを我慢して、決めた回数まで続ける
  • 指先だけで引っかけて、爪を床に当てている
  • 指をゆるめないまま、握る動きだけを繰り返す
  • 引き寄せたあと、パッと力を抜いて終わる
  • 足元を一度も見ないまま続ける

受診の目安

次のいずれかに当てはまる場合は、自己流で続ける前に医療機関へ相談してください。

  • 片側だけ足の指に力が入らない、または動かしにくい状態が続いている
  • 足の指や足の裏の感覚が鈍い、しびれが続いている——とくに両脚に広がる場合
  • 足の一部に赤み・腫れ・熱感があり、動かさなくても痛む
  • じっとしていても足の指が痛み、夜も気になる
  • 運動をすると毎回痛みが増える

とくに1つ目・2つ目——力の入りにくさや感覚の異常が続く場合は、様子を見ないでください。整形外科などの医療機関を受診してください。

なお、糖尿病などで足の感覚が鈍くなっていると言われている方は、痛みに気づきにくいことがあります。始める前に、足に傷や水ぶくれがないかを確かめてください。不安があれば、主治医に相談してから始めてください。

よくある質問

Q1. 1日に何回やればいいですか?

回数の正解はありません。片足10回程度から始めて、つらない範囲で構いません。30回できても後半が握りっぱなしなら、握ってゆるめる動きが成立した5回のほうが中身があります。

Q2. どのくらい続ければ動くようになりますか?

期間には個人差があります。変化を感じるまでの早さは、もともとの動かしやすさや、普段の靴・歩く量によっても変わります。日数で区切るより、「かかとを床につけたまま、足の指を動かせるようになったか」を目安にするほうが分かりやすいです。

Q3. タオルがないときはどうすればいいですか?

タオルがなくても始められます。床に足を置いて、足の指をゆっくり曲げ伸ばしするだけでも練習になります。むしろ最初の段階では、タオルなしのほうが動きを確かめやすいです。

Q4. 足がつってしまったときはどうすればいいですか?

まず運動をやめて、力を抜いてください。つっている指をゆっくり伸ばす方向に動かすと落ち着いてくることが多いです。無理に引き伸ばさず、痛みが強い場合はそのまま安静にしてください。繰り返しつるようなら、量を減らすか、タオルなしの練習に戻してください。

Q5. 外反母趾があるのですが、やって良いですか?

痛みの程度によります。やって痛みが出るなら、その日は中止してください。痛みが出ない範囲で、足の指を床につけたり、軽く動かしたりする練習から始めるのは構いませんが、変形の程度によって適した内容が変わります。判断に迷うときは、整形外科などの医療機関で相談してから始めるほうが安心です。足の親指の付け根が痛む方は、外反母趾と決めつける前にもあわせてご覧ください。

✍️ この記事の執筆者

ふみや|柔道整復師

整形外科クリニックのリハビリ室での臨床経験あり。30代以降の体の不調と向き合ってきた立場から、痛み・こり・姿勢・運動のセルフケアを「やさしく、でも本質を外さず」をモットーに発信しています。

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