「つけて歩くだけ」のつもりで買っていませんか
足首に巻くだけ。つけて歩けば、いつもの散歩や通勤がそのまま筋トレになる。
パワーアンクルの使い方と聞いて、まずこのイメージを思い浮かべる方もいると思います。パワーアンクルは、足首に巻く重りのバンドで、アンクルウェイトとも呼ばれます。
ところが、使い始めてしばらくすると、こんなことが起こります。
- 足首がこすれて赤くなる
- すねや膝のまわりが気になってくる
- 重さで歩き方がぎこちなくなる
- つけるのが面倒になって、しまったままになる
私自身も、自宅でパワーアンクルを使っています。
パワーアンクルは、使う場面を選ぶ道具です。
重りを足すなら、回数と速さを決められる場面から
パワーアンクルの使い方は、大きく3つあります。
- つけて歩く
- つけたまま、家事や仕事をして過ごす
- つけて、脚を動かす運動をする
このうち、はじめての方にまず試してほしいのは3つ目です。
歩くとき、脚は一歩ごとに前へ振り出されます。その回数は、少し歩くだけでも何百回、何千回になります。
足首に重りがつくと、脚を振り出すときの負荷が増えます。重さや歩き方によっては、歩幅や足の運びが変わることもあります。しかも歩いている最中は、回数も速さも、自分では細かく決められません。
一方、座ったり横になったりして脚をゆっくり動かす運動なら、回数も、速さも、どこまで動かすかも、自分で決められます。足首に重りをつけて脚を動かす運動は、目的や状態に応じて、リハビリテーションなどでも用いられます。
重りを足すなら、回数と速さを自分で決められる場面から。
ハーバード大学医学部が出している健康情報でも、理学療法士の見解として、足首の重りは歩くときや有酸素運動のときにつけるのは勧めにくく、脚上げのように脚やお尻まわりをねらう運動では役に立つ、と紹介されています(※1)。
⚠️ ただし、つけて歩くこと自体が悪い、というわけではありません。体力や歩き方、重さ、つける時間によって、負担のかかり方は変わります。この記事でお伝えしたいのは順番です。まず止まった姿勢で重さに慣れる。歩きに足すのは、そのあとで構いません。
パワーアンクルでありがちな3つの間違い
① 重いほど効くと考えて、重いものから始める
重いほうが、早く手ごたえが出そうに思えます。
けれど、重すぎると、脚を上げるときに反動を使ったり、体を傾けたりして、ねらった動きから外れやすくなります。
見るのは重さの数字ではなく、反動を使わず、最後まで同じ速さで動かせるかどうかです。
ダンベルを使っている方は、ダンベル初心者が自宅で効果を出す3つのコツもあわせてご覧ください。
② つけたまま、長い時間を過ごす
「つけっぱなしで過ごせば、それだけ鍛えられる」——そう考えたくなります。
長い時間つけていると、ベルトが同じところに当たり続けて、こすれたり、締めつけが気になったりします。疲れてくると、足を引きずるような歩き方になる方もいます。つま先が上がりにくくなり、段差でつまずく心配もあります。
時間を決めて使い、終わったら外す。そのほうが続けやすくなります。
③ 勢いをつけて脚を振り上げる
重りがつくと、脚を振り子のように振って上げたくなります。
勢いで上げると、上がった先で重りに引っ張られ、腰が反ったり、体がねじれたりしやすくなります。
上げるときよりも、下ろすときにゆっくり。高さは求めません。
パワーアンクルの使い方|まず試したい2つの運動
⚠️ 次の場合は、パワーアンクルを使うのを控えてください。
- 膝・股関節・足首に、痛みや腫れがある
- ふらつきや転倒の不安がある(とくに、つけて歩く使い方)
- 医療機関で、運動を控えるよう言われている
つける位置と重さ
- くるぶしの骨の出っ張りに、ベルトの縁が当たらない位置に巻きます
- 動かしてもずれない程度に留めます。きつく締める必要はありません
- 靴下や長ズボンの上からつけると、こすれにくくなります
- 重さは軽いものから。重さを変えられるタイプだと、合わせやすくなります
重さの目安は、このあとの運動を反動を使わず、最後の1回まで同じ速さで行えることです。
⚠️ つけたあとに、足先がしびれる、色が変わる、冷たく感じる場合は締めすぎです。すぐにゆるめてください。
① 座って、膝をゆっくり伸ばす
- 椅子に深めに腰かけ、両足の裏を床につける
- 片方の膝を、ゆっくり伸ばしていく
- 伸ばしたところで一度止まる——伸ばしきらなくても構いません
- 上げたときよりも、ゆっくり下ろす
太ももの前側を中心に力が入ります。感じ方には個人差があり、膝の上あたりに力が入るように感じることもあります。
脚を上げるたびに上体が後ろへ倒れる、太ももが椅子から浮く、といった動きが出るなら、重さが合っていない可能性があります。重りを軽くするか、いったん外して同じ動きから始めてください。
⚠️ 膝のお皿のまわりに痛みが出る場合は、重りを外してください。重りなしでも痛むなら、この運動は休みます。
② 横向きに寝て、上の脚を持ち上げる
- マットや布団の上で横向きに寝る。下の脚は軽く曲げ、上の脚はまっすぐ伸ばす
- 上の脚を、かかとを遠くへ伸ばすようにして、ゆっくり持ち上げる
- 高く上げなくて構いません。体が後ろへ倒れない高さまで
- ゆっくり下ろす
つま先が天井のほうへ向いてくるなら、体が後ろへ開いてきているのかもしれません。その場合は、上げる高さを低くします。
お尻の横あたりで感じる方もいれば、太ももの外側で感じる方もいます。
どちらの運動も、回数は最後の1回までゆっくり下ろせる範囲で。まずは数回から始めて、慣れてきたら少しずつ増やします。動かしている間、息は止めません。左右とも行ってください。
無理なく続けるための3つのこと
① 重さを足す前に、「ゆっくり」を足す
同じ重さでも、下ろす時間を長くするだけで、手ごたえは変わります。
重くするのは、今の重さで最後までゆっくり動かせるようになってからで十分です。
② 翌日は、関節まわりの痛みを見る
運動に慣れていない場合、太ももやお尻の筋肉に張りや筋肉痛が出ることがあります。強い痛みや腫れがなく、日常生活に支障がなければ、次の量を控えめにして様子をみます。
一方、膝・股関節・足首など、関節のまわりに痛みが残る場合は、重さや回数を見直すきっかけです。いったん重りを外して、同じ動きができるかを確かめてください。
お尻まわりを動かす運動は、重りがなくてもできます。ヒップリフトが効かないあなたへも参考になります。
③ つけて歩くなら、軽く・短く・平らな道で
止まった姿勢での運動に慣れてから、歩きにも使ってみたい。その場合は、次の3つをそろえて始めます。
- 軽い重さで
- 短い時間だけ
- 平らで、足もとの良い道で
歩幅が変わる、足を引きずる、つま先が引っかかる——そう感じたら、その日は外します。走るときや、階段の上り下りが多い場面では、まずは重りを外しておくほうが安全です。
重りを足す前に、まずは重りなしで楽に歩けているかを見てみてください。歩き方については、ウォーキングの歩き方でお伝えしました。
まとめ
パワーアンクルの使い方で見直したいのは、次の3点です。
- つけて歩く前に、止まった姿勢での運動から——回数と速さを自分で決められます
- 重さより、ゆっくり下ろせるかどうか——重くするのはそのあとです
- 時間を決めて使い、終わったら外す——つけっぱなしにしません
軽い重さでも、使う場面とゆっくりさで、手ごたえは変わります。
今日は、重りをつけずに、椅子に座って膝をゆっくり伸ばすところから。それができたら、次に重りを足してみてください。
セルフチェック
- ①つけて歩く使い方しか、したことがない
- ②重いほうが効くと思って、重いものを選んだ
- ③脚を上げるとき、勢いをつけている
- ④つけたまま、長い時間を過ごしている
- ⑤使ったあと、膝や足首など関節のまわりが痛む
当てはまる数が多いほど悪い、という表ではありません。当てはまった項目が、そのまま先に見直す場所です。
- ① → まず試したい2つの運動から。座って膝を伸ばす運動が始めやすいです
- ②③ → 重りを軽くするか、いったん外して、ゆっくり下ろせるかを確かめます
- ④ → 時間を決めて使い、終わったら外します
- ⑤ → 使うのをいったん休み、受診の目安を確認してください
全部やろうとしなくて大丈夫です。1つ選べば十分です。
やりがちなNG
- 重いものから始める
- つけたまま走る
- 勢いをつけて脚を振り上げる
- ベルトをきつく締めて、長い時間つけたままにする
- 痛みがあるのに、鍛えれば良くなると考えて続ける
受診の目安
次のいずれかに当てはまる場合は、使うのをやめて、整形外科などの医療機関へ相談してください。
- 運動中や運動のあと、膝・股関節・足首の痛みが続く、または腫れている
- 脚にしびれがある、力が入りにくい
- 腰の痛みが強くなった、痛みが脚にひびく
- つまずいて転び、ぶつけたところが強く痛む、腫れている
- 重りを外して様子を見ても改善しない、または徐々に悪化している
運動中に胸の痛み、強い息苦しさ、めまいが出た場合は、すぐに中止してください。症状が強い、またはおさまらない場合は、救急での受診も含めて、早めに医療機関へ相談してください。
よくある質問
Q1. 何kgから始めればいいですか?
軽いものから始めてください。重さは商品によって異なるため、まずは最も軽い設定から試します。重さを変えられないタイプなら、軽いものを選びます。重さの数字よりも、反動を使わず、最後の1回まで同じ速さで下ろせるかどうかで決めてください。
Q2. つけて歩いてもいいですか?
止まった姿勢での運動に慣れてからであれば、試して構いません。軽い重さで、短い時間、平らな道から始めます。歩幅が変わる、足を引きずる、つま先が引っかかると感じたら外してください。ふらつきや転倒の不安がある方は、つけて歩く使い方は控えてください。
Q3. つけたまま家事をしてもいいですか?
時間を決めて使うことをおすすめします。長い時間つけたままだと、こすれや締めつけが気になったり、疲れて足が上がりにくくなったりすることがあります。
Q4. 膝が痛いのですが、鍛えるために使ってもいいですか?
痛みや腫れがあるうちは使わず、先に整形外科などの医療機関で相談してください。運動が必要かどうか、どんな運動が合うかは、膝の状態によって変わります。重りを使った運動を始めるのは、そのあとでも遅くありません。
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出典・参考文献
※1 Wearable weights: How they can help or hurt|Harvard Health Publishing(ハーバード大学医学部)