横向きで寝ると、股関節の外側が痛む
股関節の外側が痛い。太ももの付け根の外側、触ると骨の出っ張りがあるあたりです。
- 横向きで寝ると、下になった側が痛くて目が覚める
- 階段を上るとき、片足に体重がのった瞬間に痛む
- 立ち話やレジ待ちのあと、外側がじんわり痛い
「硬くなっているのかな」と思って、太ももの外側を念入りに伸ばす。ローラーで、痛いところをぐりぐり押す。
それでも、なかなか楽にならない。むしろ、伸ばした翌日のほうが痛い気がする。そう感じている方もいるかもしれません。
痛いところに手を入れる前に、見直したい場所があります。
伸ばす前に、痛みが強くなる姿勢を見直す
股関節の外側にある骨の出っ張り(大転子)のまわりには、お尻の横の筋肉の腱などが通っています。
股関節の外側が痛むときは、特定の姿勢で痛みが強くなることがあります。たとえば、次のような姿勢です。
- 腰を横に突き出して、片脚に体重を預けて立つ
- 脚を組む
- 横向きで寝て、上の膝が前に落ちる
こうした姿勢では、股関節の外側に圧迫や負担がかかりやすくなる場合があります。強く伸ばすストレッチも、伸ばし方によっては、出っ張りのまわりを押しつける形になることがあります。
ただし、これらの姿勢が痛みの原因とは限りません。まずは、痛みが強くなる姿勢や時間を振り返り、負担を減らせるところから見直してみましょう。
伸ばす前に、痛みが強くなる姿勢を見つけて、負担を減らす。
⚠️ ただし、股関節の外側の痛みには、さまざまな背景があります。出っ張りのまわりの組織の問題、股関節そのものの問題、腰から響いてくる痛みなどです。この記事で扱うのは、その中で、立ち方・座り方・寝方で痛みが強くなるケースです。
転んだあとから痛む、お尻から脚にしびれがある、じっとしていても痛む——そうした場合は、先に受診の目安をご覧ください。痛む場所が脚の付け根の前側の方は、足の付け根が痛いもあわせてご覧ください。
股関節の外側が痛いときに重なりやすい3つの姿勢
原因を1つに決められないことがほとんどです。そのうえで、痛みが強くなりやすい姿勢を3つ挙げます。
3つに共通するのは、痛い側の脚が体の内側へ入る形になりやすいことです。脚が体の内側へ入ると、股関節の外側にある組織が圧迫されやすくなる場合があります。
① 腰を横に突き出して立っている
片脚に体重を預けて立つと、その側の腰が横へ流れやすくなります。
片側に体重を預けること自体が、悪いわけではありません。気をつけたいのは、痛い側の腰が横に流れた立ち方が、長く続くことです。
子どもを片側の腰に乗せて抱く姿勢も、腰が横に流れやすい姿勢です。抱っこの姿勢については、抱っこで腰が痛いでお伝えしました。
② 脚を組む・横座りが続いている
脚を組むと、上になった脚が体の内側へ入ります。床で横座りをするときも、同じような形になります。
短い時間なら気にしすぎる必要はありません。痛みがある時期に、同じ組み方・同じ座り方が長く続いていないかを見てみてください。
③ 寝るときに、痛い側に圧がかかっている
痛い側を下にして寝ると、太ももの付け根の外側にある骨の出っ張り(大転子)に、上から体の重さがそのままかかります。
反対に、痛い側を上にして寝ても、上の膝が前へ落ちると、脚が体の内側へ入る形になります。下でも上でも楽にならない、という方は、この形になっていることがあります。
立つ・座る・寝るときの見直し方
① 立つとき:腰を横に流したままにしない
- 両足に体重を分けて立つ時間を、ときどきつくる
- どちらかの脚に乗るなら、腰が横へ大きく流れない程度に
- 立ち話やレジ待ちで外側が気になってきたら、足の位置を変えるか、体重を戻す
靴下やズボンを片足立ちではくと、痛い側に体重がのることがあります。痛い時期は、座ってはくほうが楽な方もいます。
② 座るとき:脚を組まず、痛みが出にくい位置で座る
- 脚を組まず、両足を床につけて座る
- 膝の幅は無理にそろえず、股関節の外側に痛みが出にくい位置に調整する
- 床に座るときは、横座りより、椅子や台に腰かけるほうを選ぶ
③ 寝るとき:痛みが強くなる姿勢を避ける
横向きで寝ると股関節の外側が痛む場合は、痛い側を下にする姿勢を避けてみましょう。反対側を下にして寝るときは、膝から足首の間にクッションや丸めたタオルを挟み、上の脚が前に落ちないようにします。
あお向けで楽に眠れる場合は、そちらも選択肢です。大切なのは、痛みが強くならず、休める姿勢を見つけることです。
寝具も見てみてください。横向きに寝ると、太ももの付け根の外側の出っ張りは、ちょうど布団に当たる場所です。床に近い硬い寝具や薄い布団だと、体の重さがこの1か所にかかりやすくなります。反対に、柔らかすぎて腰だけが深く沈む寝具では、体が傾いて、楽な姿勢を保ちにくいことがあります。
寝具を替える前に、まずはクッションや丸めたタオルで試してみてください。
強く伸ばす代わりに、今日からできること
強く伸ばす・押すを、いったん休む
痛い時期は、太ももの外側を強く伸ばすストレッチや、ローラーでの強い押し込みを、いったん休みます。
伸ばしたり押したりすると、その場では楽に感じることがあります。それでも翌日に痛みが強くなるなら、その方法は今の時期には合っていない可能性があります。
痛みが強くならない範囲で、普段どおり動く
まったく動かさないようにする必要はありません。痛みが強くならない範囲で普段どおり動けるなら、歩くなどの日常の動きは続けて構いません。
階段がつらい時期は、手すりを使い、一段ずつ上り下りします。坂道が続く道は、選べるなら平らな道を選びます。
体の変化を、翌朝と夜で見る
姿勢を見直したら、その夜の寝つきと、翌朝の起き上がりで痛みを見てください。
1日だけで決めず、数日の流れで見ます。少しずつ楽になっていれば、その見直しを続けてみてください。変わらない、あるいは強くなっている場合は、受診の目安を確認してください。
まとめ
股関節の外側が痛いときに見直したいのは、次の3点です。
- 立つとき、腰を横に流したままにしない——両足に体重を分ける時間をつくります
- 脚を組まない、横座りを続けない——脚が内側へ入りすぎない座り方に
- 寝るときは、痛みが強くなる姿勢を避ける——反対側を下にするなら、膝の間にクッション
股関節の外側の痛みは、伸ばしたり押したりする前に、痛みが強くなる姿勢を見つけて、負担を減らすことから始められます。
今夜は、膝の間にクッションをはさんで寝てみてください。それだけでも十分な一歩です。
セルフチェック
まずは、普段の姿勢を振り返ってみましょう。
- ①立つとき、痛い側の腰を横に突き出していることが多い
- ②座ると、つい脚を組んでいる
- ③横向きで寝ると、痛い側が下になっている、または上の膝が前に落ちている
- ④痛いところを、強く伸ばしたり、ローラーで押したりしている
当てはまる数が多いほど悪い、という表ではありません。当てはまった項目が、そのまま先に見直す場所です。
- ① → 立つ・座る・寝るときの見直し方の①へ
- ② → 同じく②へ
- ③ → 同じく③へ。膝の間にクッションをはさみます
- ④ → 今日からできることへ。強く伸ばす・押すを、いったん休みます
全部やろうとしなくて大丈夫です。1つ選べば十分です。
次の症状がある場合は、姿勢の見直しよりも受診を優先してください。
- 転んだ、ぶつけたあとから痛む
- お尻から脚にかけて、しびれがある、力が入りにくい
やりがちなNG
- 痛いところを、強く伸ばし続ける
- ローラーで、痛いところをぐりぐり押す
- 痛みが強くなるのに、同じ向きで寝続ける
- 立ち話のあいだ、痛い側の腰に体重を預け続ける
- 痛みが強くなっているのに、様子を見続ける
受診の目安
次のいずれかに当てはまる場合は、自己流で様子を見ずに、整形外科などの医療機関へ相談してください。
- じっとしていても痛む、夜も痛くて眠れない
- お尻から脚にかけて、しびれがある、力が入りにくい——新しく出た場合や、強くなっていく場合は早めに
- 股関節のまわりが腫れている、赤い、熱っぽい、発熱を伴う
- 歩くのがつらく、脚を引きずってしまう
- 姿勢を見直しても改善しない、または徐々に悪化している
転んだあとに、股関節のまわりが痛くて立てない、体重をかけられない場合は、骨のけがの可能性もあります。様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。
よくある質問
Q1. ストレッチは、しないほうがいいですか?
痛い時期は、外側を強く伸ばすストレッチを休んでください。伸ばした翌日に痛みが強くなるなら、その伸ばし方は今の時期には合っていない可能性があります。痛みが落ち着いてきたら、軽く伸びる程度から試してみてください。
Q2. 温めたほうがいいですか、冷やしたほうがいいですか?
腫れや熱っぽさがある場合は、自己判断で温めたりもんだりせず、医療機関に相談してください。腫れや熱っぽさがなければ、入浴などで温めると楽に感じる方もいます。ただし、どちらかが必ず経過を良くする、というものではありません。
Q3. お尻の横を鍛えたほうがいいですか?
痛みが強い時期に、自己流で鍛え始める必要はありません。まずは姿勢の見直しからで十分です。お尻の横を使う運動は、やり方によっては痛い場所に負担がかかることもあるため、始めるときは整形外科などの医療機関で相談しながら進めると安心です。
Q4. どのくらいで落ち着きますか?
期間は人によって違い、はっきりとは言えません。姿勢を見直しても痛みが改善しない、または徐々に悪化している場合は、医療機関で相談してください。痛みが強い、歩くのがつらい、夜も眠れないほど痛む場合は、早めに受診しましょう。転んだあとに体重をかけられない場合や、発熱を伴う強い痛みがある場合は、セルフケアで様子を見る範囲ではありません。