夕方、靴のひもをゆるめていませんか

足の甲が痛い。歩いたあとに甲がじんじんする、靴の上から押さえると痛い、夕方になると甲の一部だけ当たって気になる。

そうなると、多くの方がその場でこうします。

靴のひもをゆるめる。

たしかに、ゆるめた瞬間は楽になります。ところが翌日も、その次の日も、同じところが痛い。

整形外科クリニックの現場でも、甲が痛いという方に靴を見せてもらうと、ひもがゆるんだまま、いつも同じ穴で結んであることがあります。

甲が痛いとき、ゆるめるのはその場しのぎになりやすいところです。

ゆるめると、かえって当たることがあります

ひもをゆるめると、当たっていた圧は減ります。一方で、靴とのフィットが弱くなることで、足が靴の中で前へ滑りやすくなることがあります。

足が前に滑ると、つま先が靴の先に当たり、甲は甲で、靴の別の場所に当たるようになります。当たる場所が変わっただけということも少なくありません。

ここで押さえておきたいのは、ひもの役割です。

ひもの役割は、ただ甲を締め付けることではなく、靴の中で足が動きすぎないようにフィットさせることです。

特に、かかと側に足を収めておくことで、前に滑るのを抑えやすくなります。

足がかかと側に収まっていると、靴の中で足が前後に動きにくくなります。その結果、歩くたびに甲やつま先が靴に当たることを減らせる場合があります。逆に、足が前に滑る状態のまま強く締めても、滑りは止まらないまま圧だけが増えることになります。

これがよく分かるのが、下り坂や階段を下りるときです。前に体重がかかる場面では、足は靴の中で前へ行こうとします。ゆるい靴だと、そのたびに足が少しずつ前に動き、つま先が靴の先に当たったり、甲の一部が押されたりします。

「平地は平気だけど、坂道や階段のあとに痛い」という方は、このあたりが関わっていることがあります。

⚠️ ただし、足の甲の痛みには、靴の当たり方以外にもさまざまな背景があります。骨や腱の問題、押すと一点が強く痛むもの、腫れを伴うものなどです。この記事で扱うのは、その中でも靴の履き方で負担が増えているケースです。押すと一点が痛む、腫れている、足をつけない——そうした場合は、先に受診の目安をご覧ください。

足の甲が痛いときに見直したい3つのこと

① ひもを通す穴を、最後まで使っていない

よく見直したいのが、足首側の穴です。

多くのスニーカーには、足首に近いところにもう1つ穴があります。ここを使わずに、1つ手前で結んでいる方もいます。

足首側の穴を使うと、かかとが後ろに留まりやすくなります。使わないままだと、歩くたびに足が少しずつ前へ滑り、甲やつま先に当たります。

② 履くたびに、ひもの締め具合が違う

ひもを結んだまま、足を押し込むようにして履いていませんか。

この履き方だと、かかとが靴のいちばん後ろまで収まらず、少し前にずれた位置のまま歩き出しやすくなります。足のむくみ方も、朝と夕方では変わります。朝にきつく締めた靴が、夕方に甲へ食い込むこともあります。

夕方に足がむくみやすい方は、足のむくみが座りっぱなしで悪化する本当の原因もあわせてご覧ください。

③ 甲の同じ場所に、当たり続けている

痛むところが、いつも同じ一か所ではありませんか。

ひもの交差する部分や、靴の縁が当たる部分は、圧が集まりやすい場所です。同じ場所に毎日当たり続けると、皮膚が赤くなったり、その下がじんじんしたりします。

⚠️ 靴のベロ(タン)がずれて、ひもの下でよじれていることもあります。履くときに一度まっすぐ整えるだけで、当たり方が変わることがあります。

今日からできる、履き方の順番

① かかとを合わせてから結ぶ

順番があります。

  1. 靴に足を入れたら、かかとを床に軽くトントンと当てる——足をかかと側に寄せます
  2. つま先側のひもから順に、たるみを取る——一気に引っ張らず、段ごとに整えます
  3. 最後に足首側で留める

たったこれだけです。締める強さを変える前に、足の位置を決める。この順番のほうが、甲の一点に圧が集まりにくくなります。

② 足首側の穴まで使う

余っている最後の穴を使ってみてください。

かかとが後ろに留まると、靴の中で足が前に滑りにくくなります。「きつくする」のではなく、「前に行かないようにする」という感覚です。

⚠️ 締めたあとに甲がしびれる、指先の感覚が鈍い、押すと痛みが強くなるといった場合は締めすぎです。ゆるめて、①の順番からやり直してください。

③ 痛いところの上では、ひもを交差させない

当たる場所が決まっているなら、そこだけ圧を逃がす方法があります。

痛むところの段だけ、ひもを交差させずにまっすぐ通すのです。その部分にかかる圧を逃がしながら、ほかの部分で足を固定しやすくなります。

すべての靴でできるわけではありませんが、ひも靴なら試す価値があります。

靴以外にも、痛みのきっかけを探す

歩く量が急に増えていないか

靴を見直しても痛みが続くとき、歩いた量が急に増えていないか思い出してみてください。

旅行、引っ越し、立ち仕事への異動、運動を始めた——きっかけは人それぞれです。同じ靴でも、歩く量が変われば当たり方も負担も変わります。

⚠️ 急に量が増えたあとの甲の痛みは、注意が必要なことがあります。押すと一点が強く痛む、腫れている場合は、休んで様子を見る前に受診の目安を確認してください。

同じ靴を、毎日続けて履いていないか

毎日同じ靴を履いていると、同じ場所に負担が繰り返しかかることがあります。

靴は履いているうちに形が変わります。ひもの通り道も、ベロの位置も、少しずつその人の履き方のクセどおりに落ち着いていきます。当たっている場所があるなら、その当たり方も毎日くり返されやすくなります。

2足を交互に履ければ、同じ場所に負担が繰り返しかかるのを避けるきっかけになります。同じ靴しかない場合は、結び方(交差させる位置)を変えるだけでも、当たる場所をずらせます。

痛い日は、当たらない靴に替える

痛みが出ている日は、甲に当たらない靴に替えるだけでも違います。

ただし、かかとが浮くサンダルやゆるい靴に替えると、別の問題が出ます。足が滑って指で押さえる歩き方になりやすいためです。この点はウォーキングの歩き方でもお伝えしました。

なお、甲だけでなく指の付け根も一緒に痛む場合は、当たっている場所が1つとは限りません。足の親指の付け根が痛いもあわせてご覧ください。

まとめ

足の甲が痛いときに見直したいのは、次の3点です。

  • ゆるめる前に、かかとを合わせる——足の位置が決まってから、締め具合を考えます
  • 足首側の穴まで使う——「きつくする」のではなく「前に滑らせない」
  • 痛いところの上では交差させない——当たる場所だけ圧を逃がします

足の甲の痛みは、締めすぎだけでなく、足が靴の中で前に滑っていることが関わっている場合もあります。ゆるめる前に、履き方の順番を変えてみてください。

うまくいっているかどうかは、その日の夕方と、翌朝の甲で見てください。夕方の当たりが前より軽くなっていれば、続けてみる価値があります。変わらない、あるいは強くなっているなら、無理に続けず受診の目安を確認してください。

今日は、靴を履いたらかかとをトントン。それだけでも十分な一歩です。

セルフチェック

  • ①甲が痛いとき、とりあえずひもをゆるめている
  • ②ひもを結んだまま、足を押し込むようにして履いている
  • ③足首に近い穴を1つ余らせたまま結んでいる
  • ④いつも甲の同じ場所が赤くなる、当たる
  • ⑤押すと一点が強く痛む、または腫れている

当てはまる数が多いほど悪い、という表ではありません。当てはまった項目が、そのまま先に見直す場所です。

  • ①② → 履き方の順番の①から。かかとを合わせてから結ぶだけで変わることがあります
  • ③ → 同じく②へ。余っている穴を使ってみてください
  • ④ → 同じく③へ。その段だけ交差させない方法を試してください
  • ⑤ → 履き方の問題とは限りません。受診の目安を先にご覧ください

全部やろうとしなくて大丈夫です。1つ選べば十分です。

やりがちなNG

  • 甲が痛いからと、ひもをゆるめたまま歩き続ける
  • かかとを合わせないまま、強く締める
  • 痛いところを強く押してもみほぐす
  • 腫れているのに、靴だけ替えて様子を見る
  • 甲が当たるからと、かかとの浮くゆるい靴に替える

受診の目安

次のいずれかに当てはまる場合は、自己流で様子を見ずに医療機関へ相談してください。

  • 押すと一点が強く痛む、その場所が腫れている——とくに歩く量が急に増えたあと
  • 足をつくと痛くて、かばって歩いてしまう
  • ぶつけた、ひねった、落としたなど、きっかけのあとから痛む——内出血があればなおさら
  • しびれや感覚の鈍さが、靴を脱いでも続く
  • 赤み・熱っぽさ・発熱を伴う
  • 靴の履き方を見直しても改善しない、または徐々に悪化している

とくに1つ目——歩く量が増えたあとに、押すと一点が強く痛む場合は、様子を見ないでください。骨に負担が積み重なっていることがあります。早めに整形外科などの医療機関を受診してください。

よくある質問

Q1. ひもはどのくらいの強さで締めればいいですか?

強さは、2つの状態で確かめてください。かかとが浮かないこと、そして甲を押さえてしびれや強い痛みが出ないこと。この2つが成り立つ範囲が、その方にとっての目安です。

Q2. 毎回ひもをほどくのは面倒です。

甲が痛い時期だけでも、一度ほどいて履き直す価値はあります。ひもを結んだまま押し込むように履くと、かかとが靴のいちばん後ろまで収まらないまま歩くことになりやすいです。痛みが落ち着いてきたら、いつもの履き方に戻して構いません。

Q3. インソール(中敷き)を入れると楽になりますか?

合えば楽になる方もいます。ただし、厚みのあるインソールを足すと靴の中が狭くなり、甲が今までより当たることもあります。入れてみて甲の当たりが強くなるなら、その組み合わせは合っていません。

Q4. 痛いときは歩かないほうがいいですか?

痛みが強くならない範囲で普段どおり動けるなら、まったく動かさないようにする必要はありません。ただし、押すと一点が痛む・腫れている場合は別です。その場合は歩く量を増やさず、医療機関で相談してください。

✍️ この記事の執筆者

ふみや|柔道整復師

整形外科クリニックのリハビリ室での臨床経験あり。30代以降の体の不調と向き合ってきた立場から、痛み・こり・姿勢・運動のセルフケアを「やさしく、でも本質を外さず」をモットーに発信しています。

プロフィールを見る →