「歩けるし、大丈夫かな」と思ったとき
段差を踏み外して、足首をひねった。子どもを追いかけていて、足首がぐきっと内側に入った。久しぶりのフットサルで、着地した瞬間にひねった。
その場ではかなり痛かったものの、少し休むと歩ける。
- 「歩けるし、折れてはいないだろう」
- 「今日は休めないから、このまま仕事に行こう」
- 「湿布を貼って、様子を見よう」
そう考えて、いつもどおり過ごす方もいるかもしれません。
ところが夜になって、くるぶしのまわりがふくらんできた。翌朝、足をついたら昨日より痛い。整形外科の現場でも、「歩けたので様子を見ていた」と、数日たってから来られる方がいます。
足首をひねった直後は、「歩けるかどうか」よりも、見ておきたいことがあります。
歩けることと、軽いことは同じではない
足首を内側にひねったときには、外くるぶしのまわりで骨と骨をつなぐ靭帯(じんたい)を傷めやすくなります。
捻挫(ねんざ)は、この靭帯などが引き伸ばされたり、一部が切れたりした状態をいいます。軽いものから、靭帯が切れているものまで、幅があります。
気をつけたいのは、次の点です。
- 靭帯が傷んでいても、歩けることがある
- 骨を傷めていても、歩けてしまう場合がある
- 腫れや内出血は、ひねった直後より、時間がたってから目立ってくることがある
日本整形外科学会も、痛みを感じにくい靭帯もあるため、あまり痛くないからといって大丈夫と考えないよう注意を促しています(※1)。歩けるかどうかだけでは、骨折の有無や靭帯の傷み具合は判断できないのです。
歩けることと、軽いことは、同じではありません。
特に、くるぶしの骨や足の外側の骨の一部を押すと強く痛む場合は、歩けていても医療機関で確認してもらいましょう。無理に歩いて確かめる必要はありません。体重をかけるのが難しい場合も、受診を優先してください。
そうした心配がない場合も、ひねってから数日は、「歩けるか」ではなく「痛みや腫れがどう変わっていくか」を見ながら、足首を守って過ごします。
捻挫は、最初の時点でしっかり診断されていることが大切だとされています(※1)。迷ったときは、早めに整形外科などで確かめてもらうと安心です。受診が必要なサインは受診の目安にまとめました。
足首をひねったときに起きやすい3つのこと
足首の傷み方は、ひねった向きや勢い、そのときの足の状態によってさまざまで、1つに決められません。そのうえで、知っておきたいことを3つ挙げます。
① 外くるぶしのまわりの靭帯が引き伸ばされる
足首が内側に入る形でひねると、外くるぶしの前から下にかけての靭帯が引き伸ばされやすくなります。そのため、外くるぶしの前や下に、痛みや腫れが出ることがあります。
段差の踏み外しや、着地で足の裏が内側を向いたときなどに起こりやすい形です。
② 腫れや内出血は、あとから目立ってくる
ひねった直後はそれほど腫れていなくても、時間がたつにつれて、くるぶしのまわりがふくらんだり、内出血で青っぽくなったりすることがあります。
内出血は、時間とともに足の甲や指のほうへ下がってきて、ひねった場所から離れたところが青くなることもあります。
③ 靭帯だけでなく、骨や腱を傷めていることもある
足首をひねったときには、靭帯だけでなく、くるぶしの骨や足の外側の骨、足首まわりの腱を傷めていることもあります。
見た目だけでは区別がつかないことがあり、レントゲンなどで確かめる必要がある場合もあります。「ただの捻挫」と決めつけないことが大切です。
足首をひねった直後の過ごし方と3つの方向性
ひねった直後にいちばん大切なのは、その足首を守ることです。
① まず動作をやめて、足首を守る
スポーツ中なら、その場で続けず、いったんやめましょう。「もう少しだけ」と続けると、不安定な足首で、もう一度ひねることもあります。
無理に動作を続けず、痛みが強くない姿勢で休んでください。その日は、歩く量や立っている時間を、できる範囲で減らします。
- 移動はできるだけ短く。荷物は誰かに持ってもらう
- 階段は手すりを使い、一段ずつ上り下りする
- 長い立ち仕事や買い物は、できれば別の日にする
② 痛みや腫れを和らげる工夫は、できる範囲で
次の3つは、痛みや腫れを和らげるための選択肢です。必ずしなければならない処置ではありません。
- 高くする:座ったり横になったりするときは、クッションなどに足をのせて、少し高くしておくと楽になることがあります
- 冷やす:痛みが強い場合は、タオルで包んだ保冷剤などで短い時間冷やすと、痛みが和らぐことがあります。冷やすのがつらい場合や、皮膚の感覚が鈍くなってきた場合はやめてください
- 軽く押さえる:包帯やサポーターで軽く押さえると楽になることもありますが、強く巻く必要はありません。しびれ、足先の冷たさ、色の変化が出た場合は、すぐにゆるめてください
③ 痛みが落ち着いてきたら、少しずつ動かす
痛みや腫れが落ち着いてきたら、ずっと動かさないままにせず、少しずつ動かしていきます。
強い痛みがなく、体重をかけても痛みが大きく増えない場合は、次のようなところから試してみましょう。
- 座ったまま、足首を無理のない範囲でゆっくり上下に動かす
- 室内を短く歩いてみる
- 体重をかけたときの痛みを見ながら、歩く距離を少しずつ戻す
ただし、体重をかけられない、骨のあたりに強い痛みがある、腫れが急に強くなっている場合は、自己判断で動かし始めず、先に医療機関で確認してください。
日本整形外科学会によると、捻挫の治療では、ギプスで長く固定することは今ではほとんど行われず、早くから運動を始める方法が主体になっています(※1)。これは、医療機関で傷み具合を確かめたうえでの治療の話です。
守りながら、痛みに合わせて少しずつ動かす。
どのくらいの期間守るか、いつから運動を始めるかは、傷み具合によって違います。医療機関で固定や装具を指示された場合は、その指示を優先してください。
ひねった日から気をつけたい3つのこと
① 夜や翌朝に、足首を見比べる
腫れの大きさ、内出血の広がり、体重をかけたときの痛み。ひねった日の夜や翌朝に見比べておくと、経過を振り返る手がかりになります。
スマートフォンで同じ角度から足首の写真を撮っておくのも、一つの方法です。受診するときにも、いつ・どうひねって、その後どう変わったかを伝えやすくなります。
ただし、受診が必要な症状がある場合は、数日間の変化を待つ必要はありません。痛みや腫れが強くなっている場合も、早めに医療機関へ相談してください。
② 靴は、足首がぐらつきにくいものを選ぶ
靴は、足首がぐらつきにくく、痛みを増やさずに歩けるものを選びましょう。腫れがあると、いつもの靴がきつく感じることがあります。ひも靴なら、腫れているところが当たらないようにひもを調整しつつ、かかとを靴に合わせてから結びます。
ひもを全部ゆるめてしまうと、靴の中で足が動いて、かえって不安定になることがあります。ひもの役割については、足の甲が痛いでお伝えしました。
かかとが固定されないサンダルや、底が高く不安定な靴は、ひねった直後は避けるほうが安心です。
③ 段差や暗い場所で、もう一度ひねらないようにする
ひねったあとしばらくは、足首が不安定に感じることがあります。段差、階段、夜道、濡れた床など、足元が見えにくい場所や滑りやすい場所では、いつもよりゆっくり歩きます。
痛みが少し引いても、急に元の運動量に戻さないようにします。走る・跳ぶ運動は、普段どおりに歩けるだけでなく、痛みや腫れが落ち着き、足首の動きや安定性が戻ってから、段階的に再開しましょう。いきなり元のレベルのスポーツに戻ると、またけがをする危険があるとされています(※1)。足首のぐらつきや痛みが残る場合は、自己判断で復帰を急がず、医療機関で相談してください。
まとめ
足首をひねった直後に大切にしたいのは、次の3点です。
- 歩けても、軽いとは決めつけない——骨の一部を押して強く痛むなら、歩けていても受診を
- まずは足首を守って休む——落ち着いてきたら、痛みが強くならない範囲で少しずつ動かします
- 夜や翌朝に、足首を見比べる——受診が必要なサインがあれば、変化を待たずに相談します
足首をひねったあと、避けたいのは「歩けるから」と無理を重ねることです。
今日は予定を少し減らして、足を高くして休んでみてください。それが、足首を守る最初の一歩です。
セルフチェック
まずは、今の足首の様子と、ひねってからの過ごし方を振り返ってみましょう。
- ①ひねったあとも、いつもと同じくらい歩いたり立ったりしている
- ②くるぶしのまわりの腫れや内出血が、時間とともに広がってきた
- ③痛みを確かめるために、足首を何度も回したり、ひねった向きに動かしたりしている
- ④痛みが少し引いたので、運動をいつもどおり再開しようとしている
当てはまる数が多いほど重い、という表ではありません。当てはまった項目が、先に見直す場所です。
- ① → 過ごし方と3つの方向性の①へ。その日の移動を減らします
- ② → 受診の目安を確認します。腫れや痛みが強くなっている場合は、早めに相談を
- ③ → 動かして確かめるのは、いったんやめます
- ④ → 過ごし方と3つの方向性の③へ。急に元の量に戻さず、少しずつ戻します
全部やろうとしなくて大丈夫です。1つ選べば十分です。
次の症状がある場合は、セルフケアよりも受診を優先してください。
- ひねったあと、体重をかけられない、数歩も歩けない
- くるぶしや足の外側の骨の一部を押すと、強く痛む(歩けていても)
やりがちなNG
- 歩けるからと、その日もいつもどおり長く歩く、運動を続ける
- 痛みを確かめるために、足首をぐるぐる回す
- 痛いところを強くもむ、自己流で引っ張る
- 包帯やテーピングをきつく巻いて、そのまま動き回る
- 痛みが少し引いたからと、急に元の運動量に戻す
受診の目安
次のいずれかに当てはまる場合は、自己流で様子を見ずに、整形外科などの医療機関へ相談してください。
- 体重をかけると強く痛み、歩くのが難しい
- くるぶしや足の外側の骨の一部を押すと強く痛む(歩けていても)
- 腫れや内出血が強い、または痛みが時間とともに悪化している
- 足首が不安定で、力が入りにくい
- 痛みや腫れが、なかなか引かない
ひねった直後から体重をかけられない場合は、無理に歩いて確かめず、その時点で受診を優先してください。
足の形が変わって見える、足先がしびれる・冷たい・色が悪い場合は、骨や血の流れの問題も考えられます。様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。
よくある質問
Q1. 冷やしたほうがいいですか、温めたほうがいいですか?
腫れや痛みが強い時期は、温めたりもんだりせず、まず休むことを優先してください。冷やす場合は、タオルなどで包んで短い時間にとどめます。どちらかが必ず経過を良くする、というものではありません。
Q2. 歩けるなら、病院に行かなくても大丈夫ですか?
歩けるかどうかだけでは、判断できません。歩けても、靭帯が切れていたり、骨を傷めていたりすることがあります。受診の目安に1つでも当てはまる場合は、整形外科などの医療機関で確かめてもらいましょう。
Q3. サポーターやテーピングはしたほうがいいですか?
足首を守る助けになりますが、きつく締めて動き回るためのものではありません。痛みや腫れがあるうちは、締めつけで指先がしびれたり冷たくなったりしないか、ときどき確かめてください。医療機関で固定や装具を指示された場合は、その指示を優先します。一般的なサポーターとの付き合い方は、膝サポーターの使い方でもお伝えしています。
Q4. 一度ひねると、くせになりますか?
ひねったあと、足首のぐらつきが残る方もいます。痛みが引いても、足首が不安定な感じや、またひねりそうな感覚が続く場合は、医療機関で相談してください。足首のぐらつきが長く残る場合については、足首捻挫の後遺症でお伝えしました。
出典・参考文献
※1 捻挫|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる(2026年10月23日閲覧)